カンボジアの子供達に合気道道衣を送りませんか。

私の稽古仲間で現在jicaの海外シニアボランティア隊員として、カンボジアへ合気道の指導に行かれている金子さんという方がおります。勤務先だった東芝に合気道部を作られ、富士通合気道部とも同じ本部指導部の森師範に指導を受ける姉妹道場という間柄であることから私と交流があります。
金子さんは定年退職後、皆さんもご存知、石川記念武道館の火曜日の指導をされている青木さんと時期を合わせて、jicaのシニア海外ボランティアに応募され、モロッコに1年合気道の短期指導に行った後、再度応募されて、今度はカンボジアへ2年の任期で指導に行かれました。ちょうど今1年経ったところでしょうか。そんな金子さんから仲間内に定期的に活動状況を知らせるメールが送られてきます。
カンボジアは、金子さんの前々任者だった工藤さん(東芝合気道部と同じ姉妹道場の新光証券合気道部、現在はラオスへ同じ海外シニアボランティア隊員として2回目の合気道指導に行かれています)が派遣されていた頃、ちようど5年前に私も勤続20年の特別休暇を利用して、訪問したことがありました。その時のことについては、この合気道談義でも既にご紹介しております。
今回、金子さんのメールを拝見し、子供用の合気道衣が不足しているという窮状から、幸徳会で何とか力になれないだろうかと思いまして投稿しました。下記に金子さんからのメールを本人承諾にもとづいて公開致しますので、ご覧頂き、ご協力できる子供用の合気道衣(現在未使用のもので、上着、ズボンのみでも構いません)をお持ちのご父兄の方がおられましたら、ご提供下さいますようにお願い致したく。ご協力の程、宜しくお願い致します。

********************************

カンボジア合気道アルバム 第5号

2009.4.23

早いものでカンボジアに来て半年が経ちました。大分、カンボジアのペースに馴れてきたような気がします。その馴れの典型が、前回の第4号発行から2ヶ月も経ってのこの第5号発行です。何をしているんだろう、とご心配をされた方もいらっしゃるかもしれませんが、これもカンボジア流です。ご容赦ください。
カンボジアは4月になってようやく雨が降るようになりました。雨季の始まりです。こちらの雨は風と共に突然ザーッと降ってきます。これからカンボジアに来られる方は折り畳み傘を忘れないでください。

1.カンボジア合気道の最近の動向
前回の報告で、2月に入ってRULE道場とARK道場が再開したと報告しました。
ARK道場はラブートさんががんばっており、稽古に来る子供たちは20人ほどになりました。私も時々行っていますが、皆、楽しんで稽古をしています。合気会の巡回指導で栗林先生と小谷先生が来られた時にも、ここで子供たちに指導をしてもらいました。
この道場の今の課題は子供たちの道着がないことです。今は普段着で稽古をしていますが、合気道をやるからにはちゃんとした道着を着せてやりたいというのがラブートさんや私の心境です。子供用の空手着はカンボジアでも購入できるのですが1着10ドル以上もし、こちらの感覚からするとかなり高価です。そのためラブートさんは、布地を買って自前で仕立てることを考えています。そのため現在、青年海外協力隊(JOCV)で家庭科の指導をしている隊員に協力をお願いしているところです。JICAの業務費で購入する方法もあるのですが、先ずはラブートさんの意向が実現できるように支援していきたいと考えています。
問題はRULE道場です。再開直後は生徒も数名いて今後徐々にでも増えればいいなと思っていたのですが、3月の半ばになって生徒がいなくなってしまい、また開店休業状態に戻ってしまいました。ここの責任者のラスメイ君と対策を話し合ってはいるのですが、英語がうまく通じないこともあり、ちょっと苦戦しています。とりあえずRULEで日本語を教えている2人の女性JOCVに合気道クラブに入ってもらい、新メンバー獲得の呼び水になればと考えているところです。クメール正月明けの22日からの再開、どうなるか、というところですがあまり焦ってもはじまらないと思っています。(最新情報:22日の稽古は結局、生徒3人、見学者3人でした。)

2.ラオスの3武道合同演武会に参加
3月14日にヴィエンチャンで開催された柔道、合気道、空手道の3武道合同演武会、および翌15日の合気道講習会に、カンボジア合気道クラブ(CAC)のSoeurng Narith氏と共に参加しました。
この演武会は日本大使館の主催で毎年開催されているもので、今年で7回目とのことでした。3武道合計で演武参加者約150人、見学者約300人という盛況振りでした。合気道ではタイ、ベトナム、シンガポールからも参加があり、カンボジア組は外国からの参加者演武の一番バッターとして演武を行ないました。
15日の合気道講習会も約60名の参加がありました。私も少し指導の時間をいただきましたが、タイで40年、指導をされている深草師範はさすがいろいろな指導テクニックを持っておられます。良い勉強になりました。
今回の出張でもっとも参考になったのは、ラオス合気道クラブ副会長のChanthiva氏との情報交換でした。運営体制、年間活動計画、10年先を見越した地方での普及活動など着実かつ積極的な活動を展開しており、カンボジアでの活動を考えるにあたって参考になることが沢山ありました。Narith氏にもよい刺激になったようで、CACの内部メンバからの積極的な提案が期待できるのではないかと考えています。
また日本武道振興に対する在ラオス日本国大使館の積極的な姿勢も印象的でした。この演武会の主催はもちろん、JENESYS Programme(21世紀東アジア青少年大交流計画)での武道チームの派遣、更には日本武道センターの建設など、カンボジアの現状を考えるとうらやましいばかりです。ただここに至るにはラオスの初代合気道SVであった青木さんやSEA Games等で沢山のメダルを取っている柔道SVの活躍があったと考えると、私もまだまだ頑張らなければ、という気持ちにもなりました。次回は是非プノンペンでこのような合気道演武大会を開催するのを目標にしたいと思っています。
ヴィエンチャン滞在中、そしてちょっとしたトラブルがありプノンペンに戻った後も、工藤さんには大変お世話になりました。この場を借りてお礼申し上げます。

3.合気会巡回セミナーを開催
3月20日から3日間、合気会巡回ゼミナーが開催されました。
これは日本の(財)合気会が、開発途上国の合気道普及を支援するため毎年実施している事業で、カンボジアにも毎年来ていただいています。今年は、栗林先生と小谷先生が指導に来てくれました。参加者が少ないのではとかなり心配していたのですが、結果的には4回の開催でで延べ120名程の参加がありました。ほっと一安心するとともに、カンボジア合気道の発展の可能性を改めて確信しました。
指導内容は初心者が多かったため基礎的な内容が中心でしたが、栗林先生からはかなり厳しい合気道の作法の指導がありました。これはカンボジアの人達にとって大変印象的だったようで、最後の懇親会でも合気道のマナーをしっかり教えてもらったのは大変良かったという意見がでていました。カウンターパートのラブートさんも後ほど、栗林先生はとても厳しい、という印象を私に漏らしていました。
確かに私もここで指導をするようになってから、道場の清掃から始まって、道場へ入るとき履物の揃え方から始まって稽古中のマナーなど気になることが沢山ありました。しかし、あまりにも日本との環境のギャップがありすぎ、またカンボジアの生活習慣との違いなどもあり、ついつい注意するよりこちらがそれに慣れてしまうという傾向がありました。今回のカンボジア人の反応を見ていると、やはりそういうことを彼等も求めているということがわかり、きちんと説明することの重要性を痛感しました。
両先生には講習会の合間を縫って、表敬訪問や道場視察なども行なっていただきました。表敬訪問では、カンボジア政府の教育青年スポーツ省、日本大使館、JICA事務所を回りましたが、私にとって非常に収穫の大きいものとなりました。スポーツ省では日本武道の振興にもっと注力したいという発言がありましたし、日本大使館では文化交流事業に合気道を組み込むことについて意見交換ができました。またJICA所長からは、日本武道館の建設について大使に話してみるよ、という発言までありました。いずれもそう簡単に実現するものではありませんが、今後、カンボジア合気道の自立・発展につながる具体的なものに繋げていければと考えています。
合気会には、来年以降もこの巡回指導を継続してくださるようお願いいたします。

4.カンボジアの経済情勢
世界的な経済不況、日本では期間労働者や派遣社員の解雇など大変な影響を受けているようですが、カンボジアの状況はどうなっているのでしょうか。私のような生活をしていると殆ど影響がないように感じられます。実際、ある合気道メンバに聞いたところ、カンボジア経済はグローバル経済に組み込まれるほど発展していないし、それに銀行は信じないで現金を自分で持っている人が殆どなのであまり影響はないよ、という返事でした。
しかし、そうでもないようです。
先日、たまたまこちらの雑誌を見ていたら、カンボジアでは60の縫製工場が閉鎖に追い込まれ、失業した労働者の数は既に5000人に上っている。このままバイヤーからの注文がなければ、5月頃までには5~6万人以上の工員が職を失う見込みだ、という記事がでていました。実際、プノンペンの郊外を夕方通ると、工場から出てきた大勢の女性が、トラックの荷台に長い椅子をつけたようなバスに乗り込む光景をよく見かけます。そしてこのような女性工員は、家族を養うため農村地帯から出稼ぎに来た人が多いのです。その雑誌には、ある女性工員は「故郷を出て2年経つ。家族は私の稼ぎを期待している。また体を売らなければならなくなるのでは」と話した、という文章ものっていました。日本では失業保険などのセイフティネットが整備されていますが、カンボジアではそういうものは一切ありません。考えようによっては、世界不況の影響は日本以上に大きいのかもしれません。
一方で、全国の公務員の給与が、1月から20%アップするという景気の良い話も出ていました。まあ歓迎すべきことではありますが、もともとベースが低いのですから多分、焼け石に水です。ラオスに一緒にいったNarithさんは内務省に勤務していますが、給料は70ドルだそうです。ただ彼の場合は一緒に暮らしている義母が洋品店を経営しているので、家族としてはまあまあの生活をしているようです。ラオスに行ったときの費用も義母に援助してもらったようです。


概要 | プライバシーポリシー | サイトマップ
Copyright©2017 合気道幸徳会 All Rights Reserved.