「体」の重要性について

桜の見ごろも今日で終わりでしょうか。すっかり春になりました。今年も1年間しっかりと稽古して行きましょう。
稽古中にも何回かお話しておりますが、それでもしつこく今回は、心・技・体の部分の「体」の重要性についてお話したいと思います。
技を掛ける土台となるものが「体」ですので、これがしっかりしていなくては「技」は掛けられず、すべてが小手先のものとなってしまいます。ここで誤解して頂きたくないのですが、「心・技・体」、すべて等しく重要なものですが、ここではとりたてて「体」についての意識を持って頂きたいということで今回は話を進めます。

「体」は、足腰背から力を肘を通して腕全体に伝え、上半身、特に肩の力に頼ることのない力を全身に伝えます。相手を崩す呼吸力発揮の原動力ともなります。「体」を考えるということは、身体動作の土台を考えると言うことですから、合気道の数々の「技」も、「体」を通して考えれば、みな同じ動きであると感じられるようにならなければなりません。すなわち、身体の中心線上を頭上を頂点として手が上下する運動であるということに気がつかなければいけません。これに入り身と転換の体捌きの動きが加わることで、中心線上の上下運動が円運動に変化してくるわけです。中心線を下から上に手を振りかぶることと入り身、腰を使って相手を崩し、下へ押えるもしくは投げるという運動になります。

「体」を意識するには、合気道のまるい動きを支えるための「中心を作る」という意識を持つ必要があります。円は中心があってはじめて描けるわけですから。これが感じられるような稽古をすることで、「体」の観点から「技」を見つめ直すという稽古を行うことが重要に思います。体の中心は丹田にあり、これを中心にすえるように円運動ができるように何回も反復して稽古する必要があります。「体」を使わず(動かさず)に、手だけで円を描いても、この場合の支点は肩ですから丹田を意識していないことになります。おのずと力も肩にたより、下半身がつながってきません。

初段となられた方は、特に一通りの基本的な「技」の形を覚えて、これから深くその真髄に落とし込むことをしなければならないわけですが、これが容易でないことは皆さんもよくおわかりのことだと思います。これまで「技」の形を色々覚えれば、上達すると思っていたかもしれませんが、初段となってからは同じスタンスを貫けなくなるでしょう。
なぜなら、「技」の形だけはだいたい覚えてしまったので、もう量を覚える作業が主体にならなくなってしまうからです。今度はその質を高めようとしても、向かう方向がわからないから高めようがない。質を高めるということは、スピードを早くすることと思っている人もいるように思います。

私が見ていて全体的にもう少し意識して稽古しなければならないと思うのは、この「体」だと思うんです。相手を「倒す、崩す」という相対的な意識が強すぎると、相手本位になってしまってかえって自分の「体」がくずれてしまっています。もっと絶対的な自分自身への意識を「体」にもって足の位置から、手の動く範囲など考え直す必要があります。
今のやり方を続けていればうまくなるとは限りません。安易に稽古だけを重ねても、逆に悪い癖を積み重ねてしまって、正しい方向からどんどんそれて行ってしまう可能性さえあるのです。もう一度、どうしてこう動くのかということを問い掛けながら、稽古して行きましょう。


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